習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『虹の女神』、現実という壁の前に立つこと。

映画が終わったとき、「あまり、泣けなかったね」という隣に座っていた女の子たちの会話が耳に入った。そりゃそうだろう。これは泣かすための映画ではない。そして、残念ながら高校生の<子供>が見る映画でもない。 大学生を描く映画というのは、実はそんな…

『好きだ、』と『アメリカ、家族のいる風景』

劇場で見た映画しか映画と思わないから、基本的にはここにはDVDで見たものは書かないのだが、今回は掟破り。やっと『好きだ、』を見た。これが実は、かなり微妙で。 とてもきれいな映像で、それだけ見てる分にはいい。でも、これでは映画とはいえない。1…

上品芸術演劇団『まじめにともだちをかんがえる会の短い歴史』

鈴江俊郎さんがAIホールのファクトリーで出会った若い人たちと別ユニットを組んで作ったこの芝居は、とてもシンプルで分かりやすく面白い。8時半の時とは全く違うテイストを示しつつも、でもとても鈴江さんらしい作品に仕上がっている。 4人の女たちが同…

dracom『世界のバイパス』

岐阜の大垣で行われた野外バージョンのお話を制作の仁木さんから伺い、とても心惹かれた。筒井くんが音楽隊の2名を引き連れて町の中を移動してゆき、その後ろをお客さんたちがゾロゾロと追いかけていく姿が目に浮かぶ。様々な場所でパフォーマンスを繰り広…

『父親たちの星条旗』

『クラッシュ』のポール・ハギス監督によるシナリオが見事だ。あの映画と同じように複雑に絡みあった事実や人物が一つになるまでを1本の映画として見せていく手法は彼ならではのやり方だろう。それをイーストウッドが手堅く演出していく。 最初は何を描こう…

『幻影』

ふたりの少女が偶然出会う。一人は施設にいる自閉症気味の少女ニナ。もう1人は窃盗をしながらフラフラ生きるトニ。ベルリンの町を浮遊する2人の2日間のスケッチが淡々と描かれる。特別な思い入れもなく、ドキュメンタリーのような距離感がある。 そこに1…

『ナチョリブレ・覆面の神様』

この思いきり、へなちょこなこの映画をどう受け止めたらいいのか。見終わってかなり困った。本気で作っているくせに、、すごくふざけている。これに感動してたなんて言うときっとへんな奴と思われるはずだ。しかし、作り手はきっと大真面目である。よくある…

超人予備校『迷い犬のサクマさん』

長い長いまわり道をして、ようやく魔人ハンターミツルギは自分の芝居のスタイルを見つけ出した。 最初からこういう芝居が出来ていたなら、今頃はすごいことになっていたかもしれないが、それが出来なかったことに意味がある。彼にとってこのまわり道は人生の…

『高林陽一の宇宙』

昨日『ベンチのある風景』について書いてから、いくつか気になることがあり、ずっと買っただけで読んでなかった『魂のシネアスト・高林陽一の宇宙』という本を開いてみた。 『あの遠い日の映画への旅』の増補版とも知らず買い、そのままにしていた本だ。高林…

未知座小劇場『大阪物語』

途中休憩なしの3時間15分。とんでもない大作である。そして前2作と同じように基本的にはモノローグ劇で、主人公の打上花火が全編出ずっぱりになるのは、彼女の内面の物語として作られてあるからだ。極端な言い方をすれば曼珠沙華も含めて全員がコロスの…

未知座小劇場『独戯』

第一夜の『明月記』が、ひとりの女の内奥を描いたように、この作品は、同じようにひとりの男の内なる孤独を、思いきり、みみっちく情けない姿のまま、さらして見せてくれる作品になっている。 この2本の芝居は、まるで合わせ鏡のようになっており、2本がそ…

クロムモリブデン『猿の惑星は地球』

分かっていたことだけど、とてつもなくバカバカしく、無意味でナンセンス。青木さんは東京に行っても少しも変わりなく、おバカをしておられて、うれしい。思いっきりの筋金入りバカだと思う。こういうネタを使いながら、ここまでどうでもいい芝居にしてるの…

あの遠い日の『ベンチのある風景』への旅

僕にとって高林陽一監督は、映画というものの本当の面白さを教えてくださった神さまのような存在だ。 『本陣殺人事件』からスタートする彼の商業映画のキァリアと同時に、彼の映画を見始めた。その後、全ての映画をリアルタイムで見続け、同時に初期の個人映…

『太陽の傷』

細部のリアルさがなくて、大雑把、見ていて突っ込みどころ満載のホクテンザらしい映画なのだが、三池崇史はそんな細かいことはまるで気にしない。低予算であろうが、大作であろうが、いつも同じ。ハンディーなんか屁でもない。いつものように勢いだけで見せ…

妄想プロデュース『アイツ』

芝居を見ながら、何度も苦笑してしまった。こんなにも熱く芝居を夢見ることって、彼らの若さのなせる業だなと思う。正直言って今の僕には不可能だし、したいとも思わない。でも、彼らのこの眩しさは嫌いではない。傲慢なくらいに輝いている。 特撮ヒーローも…

『ストロベリーショートケイクス』

こんなにも繊細な痛みを淡々と見せ続ける映画を、見続けることは、ある種の苦痛である。2時間7分。映画をずっと息を詰めて見る。4人の女性たちの姿を追い続けることになる。目を背けたくなるような痛みが、そっけなく描かれていく。 4人の物語は絡み合い…

未知座小劇場『明月記』

10年ぶりに未知座の芝居を見る。かって、アングラテント芝居を精力的に作り続けてきた未知座の芝居を見に行くのはとても楽しかった。次は何をしてくれるのかと、ワクワクドキドキしながらテントに足を運ぶ。『さよならジャパン』と『日本少年』の2本連続…

第2劇場『帰れた?』

次から次へと災難が起こり、自分の家に帰れない男の話というのはハリウッド映画がコメディーとしてよく使う手なのだが、警察が邪魔して何度も署に舞い戻ることになるという不条理が面白い。しかも、彼らは実は警察ではなく帰宅阻止株式会社という人たちだっ…

しかばんび『シンカ』

ザムザが朝、目覚めると、お金になっていた。そして、世界中で人がお金になっていく。人は死んでお金を残す。残された家族のために。 この芝居の発想の面白さはそこに尽きる。こんなふうな現実を見せながら、その事件が世界をどう変えていくのか、そこをもう…

くじら企画『怪シイ来客簿』

大竹野が久々に家族の問題を取り上げている。作品自体は『サラサーテの盤』に続く文芸シリーズ(そんなものがあればだが)なのだが、色川武大のことが好き過ぎて、作品や作家との距離がうまく取りきれてない。彼がかなり苦しんで作ったことが、痛いほど伝わ…

『16ブロック』

ブルース・ウィリスがリチャード・ドナーと手を組んだポリスアクション。これはかなり期待できると思ったのだが、いまいち乗り切らなかった。中途半端な作り方をしているからだろう。派手なアクションというわけでもなく、ドキドキさせられるようなストーリ…

『地下鉄に乗って』

篠原哲雄監督によるファンタジー映画。すべてが夢のようであり、しかし彼の中では現実であったというスタイルは、かなり微妙で、乗り切れなかった人には、ただの夢オチじゃないかとしか思えないし、つまらないかもしれない。しかし、それを承知の上でこのあ…

『トンマッコルにようこそ』

去年の3月、プサンに行った時、ちょうどこの映画が上映中だった。劇場のポスターを一目見て、とても気に入ってしまい、見たいと思った。女の子が緊張した面持ちで目をまんまるにして立っている。その横には、ぽっちゃりした男の子が手を振る。二人の背後に…

スケッチブックシアター『夏みかんと、オリーブ』

とても真面目で、誠実なお芝居である。作者である逢沢ヒロオさんの人柄が滲み出たような作品になっている。作品が作者に似るのは良くあることだろうがここまでそのままなんて、微笑ましすぎる。もちろん、僕は彼の事をよく知っている訳ではない。なのにそこ…

『レディー・イン・ザ・ウォーター』

不思議な夢のような映画である。そして、ためいきが出るほど美しい。

突劇金魚『鰐と花と欲望ゴールド』

正直言って驚いた。このとんでもなくへんてこな芝居、そのエネルギーに参った。久々に訳のわからない芝居を見たと興奮している。

『スケバン刑事』はなぜあんな映画になったのか

これは驚愕のつまらなさだ。ここまでくだらない映画を、今という時代に作ってしまうというあまりの無神経にただ、ただ驚くしかあるまい。 鈴木則文監督が天国から帰ってきて、70年代のプログラムピクチャーの添え物映画を三日ほどで撮って還ったような映画…

『ピクニックの準備』で準備する

長澤雅彦監督をメインにした6人の監督が作り上げたオムニバス作品。「夜ピク」のためのナビゲート映画であると同時にこれはこれでもうひとつの「夜のピクニック」として仕上がっている。 特に「夜ピク」のメーンキャストではない高校生たちにスポットを当て…

『夜のピクニック』と歩く

今、自分が、その時間の中にいる時には気付かないが、時が経って振り返る時、あの時は輝いていたよな、と思える瞬間はいくつもある。

楽市楽座『金魚姫と蛇ダンディー』

あまりにシンプルでコンパクトな話になっており驚かされる。しかも、かつての楽市楽座が持っていたダークな雰囲気は一蹴されている。