習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

南船北馬『これっぽっちのうち。』

3組の夫婦のお話だ。それぞれの事情が描かれていく。彼らがお互いと向き合い、今感じることをぶつけ合うわけではない。どちらかというと、あきらめだ。わかり合えない。でも、まだ終わりではない。それどころか、始まってもいない。3つの話は基本的には交わ…

『鈴木家の嘘』

思ったほど、凄い映画ではなかったけど、新人のデビュー作としてはなかなかの力作だ。2時間13分という長尺を最後まで見せる。もっとコメディタッチになるのか、と思ったのだが、そうはならない。ただ、この話なのにシリアスだけで、押し通せるわけでもな…

『50年後のボクたちは』

一夏の冒険譚だ。ふたりの少年が旅に出る。そこにひとりの少女も絡んでくる。よくあるパターンであろう。93分の短い映画は、テンポよく進んでいく。感情的には描かれない。彼らの危ない冒険は、時には犯罪だし、やってることはめちゃくちゃだ。破滅的という…

ジャブジャブサーキット『ビシバシと叩いて渡るイシバシ君』

今回のジャブジャブはなんと上演時間が90分ほど。こんなにも短いジャブジャブは初めてではないか。このなんとも人を食ったようなタイトルも、いつもと少し違うし、作品自体もいつも以上にサラリとしていて、なんだか不思議。 自然災害でとんでもないことに…

『ヴェノム』

スパイダーマンの悪役を主人公にしたヒーローもの。ダークヒーローというのも、もうパターンになっているから、殊更これが新しいわけではない。それより、この映画を見ながら、「ひとつの体を2人が共有するヒーローものって、元祖はウルトラマンだったのでは…

『スマホを落としただけなのに』

今だからこそ、意味を持つ映画なのかもしれない。題材がとてもタイムリーだから、大ヒットした。だが、映画自体は大してことはない。中田秀夫はもう以前のような輝きを失った、ということが決定的になった。彼のキャリアの頂点はあの『リング』であり、そこ…

藤谷浩『ぼくらのひみつ』

『船に乗れ!』3部作以降新刊が出たなら必ず読むようにしている藤谷浩の2010年の作品。たまたま読んでいなかったのを発見して、借りてきた。(ということは、先の「必ず」というのは嘘だ。僕が知らない間にいろんな本が出ている、ということなのだろう。…

『走れ、T高バスケット部』

大量生産される高校生ものの青春映画の1本。もうこのジャンルは観客に飽きられてしまったのに、まだまだどんどん量産されていく。鉱脈だと思い企画したもののもうブームは去っていたのだ。なのに、作った以上公開しなくてはならない。でも、当然劇場は閑古…

げきだんS―演s?『「辛い」という字に「一」をたす』

これはストーリーだけを聞くと、とてもわかりやすい芝居のはずなのに、実際に見てみると、なんだか不思議な芝居なのだ。その理由はお話が常に2人の対峙で進行するからだろうか。さらには時制もジグザグに進行する。今の時間がどこなのか、よくわからない。…

極東退屈道場『808ダイエット』

このエッセイのような芝居は都市論でもあり、路上観察考でもある。大阪の町をランニングする。反時計回りに大阪城を走る集団とぶつかってしまった男は(大阪城の外周は反時計回りに走るのがルールらしい)、東横堀川にかかる橋をジグザグに走ることにする。…

劇団大阪『明日―1945年8月8日・長崎』

舞台中央には大きな時計がある。装置はそれだけ。時計を囲む青い通路は、川の流れを象徴するのか。時間は11時2分を指している。芝居が始まるとすぐ、時計の針が外されて、その円い時計自体が舞台となる。この円形舞台とその周囲で繰り広げられるここで暮…

ハコボレ『はこづめ』

一貫した姿勢を貫く。自分の美意識で統一する。前田隆成のひとり劇団。芝居自身のスタイルもそうだし、タイトルも、さらには文庫本のブックカバーになるチラシもそうだ。いろんな意味でのこだわりが凄い。栞になるチケットもおしゃれだし、はがきのアンケー…

沢木耕太郎『銀河を渡る』

25年ぶりの沢木さんの全エッセイ、ということだ。『路上の視野』『象が空を』に続く3冊目なのだが、先の2作とは少し趣を変えて、量的にはそれほど膨大ではない。2段組だった先の2作は圧巻だった。特に『路上の視野』はあの頃の僕にとってバイブルだっ…

『壜詰のf』

偏愛2部作として『眼帯のQ』とともに上演された。台 本、 三名刺繍(劇団レトルト内閣)、 楽曲・演出 佐藤香聲(銀幕遊學◉レプリカント)のコンビによる連作。2作とも見たかったのだが、今回はこちらのみしか見られなかった。今まで、何度となく見てき…

『ビブリア古書堂の事件手帖』

三島由起子監督がこういうエンタメ映画にチャレンジするということで期待した。タッチは抑えた地味めで悪くない。だけど、お話の方があまりといえばあんまりな展開で、さすがにこれではついて行けない。古書を巡るミステリーだと思って見ていたのに、お話が…

島本理生『ファーストラヴ』

シンプルで甘いタイトルに騙されてはならない。というか、作者には毛頭、騙すつもりなんかない。島本理央はこのタイトルで腹を括っている気がする。この残酷な「初恋」という想い。これはあまりといえばあまりな残酷さ。こんなものをファーストラブと信じな…

『search/サーチ』

これは大胆極まる映画だ。こういうアイデア先行の映画は後半になると、どうしても尻すぼみする傾向にあるのだが、これは最後まで見事な仕掛けを施してある。あっと驚く展開で、呆然とする。そこまで考えたのか、とシャッポを脱ぐ。参りました、と言うしかな…

『デス・ウィッシュ』

まだ映画を見始めてまもない頃の話だ。チャールズ・ブロンソン主演の『狼よさらば』を見た。たぶん。実をいうと、もう今では記憶は曖昧なのだ。押し入れにある「映画ノート」(中学生の時から毎年1冊ずつその年に見た映画を記録している)でも引っ張り出した…

劇団太陽族『トリビュート』

「4つの楽曲から着想する短編集」というサブタイトルを敢えてつける。故意に作品を小さなものとして提示しようとした。上演時間も80分を予定すると最初の段階で説明している。なのに三田村さんが出てきて延々と前説をする。故意にしているのは歴然だ。「…

テノヒラサイズ『優しい犯罪者』

湯浅崇の作、演出、(もちろん出演)作品になってからのテノヒラサイズは少しスマートじゃなくなった(気がする)。オカモト國ヒコとは同じようなコンセプトであっても、表現するものが微妙に違う。オカモト作品に慣れた目には、少しもの足りない、と今まで…

『億男』

とてもよく出来た寓話になっている。最初は少し嘘くさくて鼻に付くが、わざとこういうタッチで見せようとしているのだということがわかると、この映画のスタンスに乗ることで気持ちよくこの物語の世界で遊べる。リアルなんか最初から目指してはいないから、…