習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『戦場でワルツを』

このアニメーション映画は衝撃的だ。なぜアニメなのか、と見ながらも思ってしまう。わざわざアニメーションにしなくても、実写で充分表現できるはずだ。だが、作者であるアリ・フォルマンは、これをわざわざアニメにする。そして見続けるうちにその答えを知…

柴崎友香『寝ても覚めても』

このタイトルから想像されるような情熱的な恋の物語から遠く離れた小説である。でも、これはいつもながらの柴崎さんの世界だ。驚くことはない。だが、10年間に及ぶドラマとして、こういう話を提示されるとさすがに驚く。いつものような中編ならいざ知らず…

第2劇場わこうど『あがしるべ』

18歳の大学生が気づくと、10歳の男の子になっている、らしい。本人は今まで通りで変わらないつもりなのだが、周囲は彼を子供扱いする。10歳の男の子にしか見えないようなのだ。そこは、知らない家で、知らない人が居る。彼女は少年の叔母さんらしい。…

片川優子『動物学科空手道部1年、高田トモ!』

こういう青春小説を読んで、こんなにも素直に感動できてうれしい。作者が現役女子大生で、自分の体験を生なまま小説として描いていくことが結果的に上手く機能したからだろう。主人公が等身大であるのがいい。大人が頭で作った嘘くさい女子大生ではない。こ…

『その男の本、198ページ』

『その男の本、198ページ』というタイトルはあまりよくないなぁ。もう少しロマンチックなタイトルの方がよかったのではないか。『リメンバーミー』のキム・ジョングォン監督最新作だ。最近ではこういうファンタジータッチのラブストーリー映画が韓国から…

遊劇体『縄文人にあいういう』

満開座の芝居の中にあるアナーキーさ、ある種の熱さを、キタモトさんは抑えたタッチで見せようとする。今から18年前に初演された芝居なのだが、80年代の香りが濃厚な作品である。虐げられた人々の思いが爆発していく様は感動的だが、それを冷静な語り口…

超人予備校『トラにパンチ!』

今回の超人予備校はいつも以上に明確なストーリーラインがあり、そこに向けてストレートにドラマが収斂していくというスタイルだ。とても単純でわかりやすく、スポ根ものの王道を行くような展開である。だから、ラストはこの手のドラマのひとつのパターンで…

『スープオペラ』

なんて暖かい映画だろう。切なくて悲しくて、でもそれでも生きる勇気を与えられる。こういう映画が見たかった。主人公は35歳の女性である。彼女は結婚もせず、ずっと叔母と2人きりで、ひっそりと暮らしている。ずっと(たぶん)大学の図書館で働いている…

『真夏の夜の夢 三角山のマジルー』

中江裕司監督の新作だ。今回はなんとシェイクスピアの喜劇を題材にしている。もちろん彼の事だから、舞台は沖縄になる。映画自体はいつもながらのテイストで、とても楽しい。原作の設定は随所に使っているけど、あまり拘らない。ほとんどオリジナルである。…

『渇き』

パク・チャヌク監督の新作だ。『オールドボーイ』と出会ってから、ずっと彼の作品はリアルタイムに劇場で見てきた。と、いってもまだ数本だ。でも、それくらいにインパクトが強いということが言いたいのだ。要するに。『親切なクムジャさん』は韓国で見たし…

くじら企画『密会』に寄せて

以下は10月30日のくじら企画『密会』上演後のアフタートークに配布してもらう文章。当日は古賀さんと馬場さん、田口さんというスペースゼロ演劇賞の選考委員をしていたメンバーがそろって、ゼロの頃の大竹野の話をする。とても楽しみだ。 それはともかくとし…

『乱暴と待機』

何なんだ。この異常な話は。原作は出版されたときに読んでいたから、お話自体にはさほど驚かない。充分その異常さは知ってるからだ。だが、この映画は、あの原作以上に異常なものになっている。しかも、話は原作そのままなのに、である。描写を過激にしたの…

『(500)日のサマー』

久々に心ときめく映画に出会った。こういうラブストーリーが好きだった。でも、最近はこの手の映画にもときめかない、と思っていた。先日『君に届け』を見て、あんなにも乗れなかった自分が悔しかったのだが、それは必ずしも僕のせいだけではない。今日、こ…

『桜田門外ノ変』

佐藤純彌監督入魂の一作である。75年の大傑作『新幹線大爆破』に匹敵するという評判だ。そんな噂を聞くと居ても立っても居られなくなり、さっそく劇場に行く。その構成にまず驚く。クライマックスであるはずの桜田門外の変が、冒頭40分くらいの時間に起…

エイチエムピー・シアターカンパニー『Politics! Politics! Politics and Political animals』

『リア王』は父の話なのに、この作品は主人公であるはずの父を不在にして、本当なら舞台には登場しないはずの母の話として作られてある。だが、不在の父は影として、登場し、その存在は彼女たちをしっかり覆っている。しかし、問題は母である。 彼女と娘たち…

『ミックマック』

大好きなジャン=ピエール・ジュネ監督の新作なのに、今回初めて乗れなかった。ショックだ。前半は大好きだ。これはいつもながらのジュネの世界だ、と嬉しくなる。作り物めいた不思議なビジュアルが刺激的で楽しい。だが、後半になって、お話が復讐の話にな…

『国家代表!?』

最近の映画で言えば『ソフトボーイ』、大ヒット作ならば『ウォーターボーイズ』の流れを汲む映画だろう。もちろん全く同じタイプの『クールランニング』が比較対象としての最大のライバルか。ポンコツチームをひとつにして大きなものを掴むというよくあるパ…

『エクスペンダブルズ』

これはあり得ない。豪華アクションスター夢の競演である。映画を見ることより、このイベントを夢見ることの方が、ずっと楽しい。だから、この手の映画はいつも期待の方が大きくなりすぎてがっかりすることが多い。だから、今回もできるだけ、がっかりしない…

『死刑台のエレベーター』

これはダメだと思う。「愛のために人を殺せるか」なんていう観念的な話は、映画自体によほどの仕掛けがなくては、観客を納得させられない。雰囲気だけで流されるわけにはいかない。しかも、リアルな映画ならいざ知らず、こういうムードだけで押していく映画…

『大奥』

よしながふみの原作コミックを読んだときは軽い衝撃を受けた。こんな手があったんだ、と感心したのだ。それはちょっとした驚きだった。男女逆転の世界というのは『猿の惑星』級の発想のおもしろさだ。それを、それだけに終わらせない。きちんとそこから考え…

大阪新撰組『ひかりごけ』

重い芝居であることはわかっていたけど、こんなにも観念的な芝居にすることはないのに、と思う。とても新撰組の芝居だなんて思えない。後半、法廷劇となるところから、ドラマ自体が象徴的なものになってしまうのはわかっていたけど、前半までもが、まるでリ…

『君に届け』

劇場は若い女の人が95%を占めている。シングルの男子は僕一人だけだったので、かなり焦った。レイトショーで見たから客はあまり多くなかったからよかったが、中高生が見る時間だったら、かなり苦痛だったはずだ。それにしても、こういう映画に何を期待し…

evkk『FOG』

いつもにも増してどんどんエスカレートしていく。外輪さんは、もはやテキストを語るよりもテキストを解体して、物語らないことを選ぶ。それは観客を混乱させるためではない。語るべきドラマよりも心の深奥を見せることの方が大事だと感じるからだ。混沌を混…

青年団『砂と兵隊』

ただ、下手から上手に砂の中を匍匐前進していくだけの兵士たち。同じように下手から上手へと黙々と歩いていく観光客たち。この単純な運動のくりかえしだけの芝居が、どうしてこんなにも胸に迫るのだろうか。この変化のない単調な繰り返しは、ここが戦場であ…

演劇集団よろずや『青眉のひと』

今回で3度目になる。寺田夢酔さんはもともと再演が好きな人だが、今回はいつもにも増して気合が入っている。だって山本能楽堂での公演である。由緒正しきこの空間で、彼の演劇がどれだけ力を発揮するのか、楽しみだった。まず結果から言おう。充分成功して…

虚空旅団『見送ル、背中』

とても芝居らしい「お芝居」だ。まるで大劇場による大河ロマンを見たような気分にすらさせられる。ここはウイングフィールドなのに、なんだか不思議な気分。ちょっと贅沢な体験。とても堂々としていて気持ちのいい芝居だ。役者たちがきちんとそこにいて、背…

『ルンバ!』&『アイスバーグ!』

それにしても、《2本立!》 なんとも懐かしい響きだ。昔はほとんどの日本映画が2本立だった。外国映画だってB級映画は2本セットで公開された。場末の2番館なんて3本立、4本立なんてのもあった。今ではなんでもかんでも1本で公開される。貧乏な人は劇…

『バレンタイン・デー』

こういうスタイルの映画は山盛りある。1日の話で、24時間の中で、いろんな人たちがそれぞれの場所で、悲喜こもごものドラマを体験していくというドラマをスケッチしていく群像劇。数年前に日本映画でも『大停電の夜に』という映画があった。『ナッシュビ…

トイガーデン『ユビュ王』

また『ユビュ王』である。安武さんはほんとうにこの作品が大好きなのだな、と感心する。新しい作品にトライするよりも、勝手知ったるこの作品で、また、新しいアプローチをして、遊ぶ方が楽しいのだろう。今回は最初に20分くらいかけて「あらすじ」を紹介…

小手鞠るい『私の神様』

小手鞠るいはもう読まない、と強く心に決めたはずなのに、新刊が出たら、また読んでしまった。そして、途中で後悔した。なんでこの人はこんなに安易な展開しかしないのか、と。そして相変わらず嘘くさい。 だが、最後まで読んだとき、これはこれで結構感動し…