習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『アフターアース』

今回のN・ナイト・シャマラン監督の新作は、登場人物がほぼひとり。しかも、ウイル・スミスではなく、息子の方だ。それにしてもなんとも地味な映画だ。一応それなりの予算をかけたSF大作のはずだし、これはウィル・スミスとジェイデン・スミス親子が主演…

桜井美奈『きじかくしの庭』

タイトルの「きじかくし」というのはアスパラガスのことだ。この本を読むまで知らなかった。もちろん、ほとんどの人がそんなこと知らないはずだ。そこを踏まえて作者はこのタイトルをつけたのだろう。「きじかくし」って何? そこから始まる。 新人作家のデ…

大谷高『若葉夢』

今年も大谷がやってくれた。これはもう「大谷チャンピオンまつり」って感じの世界だ。(昔あった「東宝チャンピオンまつり」をもじった。) 開演30分前には完全に客入れが終わっていた。それって、なんで? 要するに早くから客が集まってパニックになった…

『ハング・オーバー!!! 最後の反省会』

こういうタイプの軽いコメディー映画が、まるでサーガのような展開で、なんと3部作になるって、珍しい話ではないか。ラスベガスから、始まり、タイのバンコクへと飛び、最後に再びラスベガスに戻る。まさかの展開である。しかも、お話にはちゃんと整合性が…

『ベルリンファイル』

『シュリ』から14年、というキャッチフレーズに心惹かれて劇場に向かった。現在の韓国映画の原点となる『シュリ』の衝撃は大きい。スケールの大きなハリウッドに負けないエンタメ・アクションを韓国映画が作った、というあの映画の意義は大きい。そしてそ…

箕面東高『飛翔』

ドーンセンターの1階パフォーマンス・スペースでの公演かと思ったら、なんと7階のホールでの上演だった。中ホールでの上演は、高校生はコンクールとかで、慣れているだろうから、そんなには戸惑うことはないだろう。だが、見るほうは「大丈夫か」と少し心…

『忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段』

1昨年作られた三池崇史監督による、はちゃめちゃ映画の続編。今回、監督が田崎竜太(雨宮慶太の傑作の後を受けた平成版『仮面ライダー』や、金子秀介の傑作『ガメラ』3部作の続編である子供向け『ガメラ』を作った人)に変わって、キャスティングも含め、と…

『風立ちぬ』

4分版の予告編があまりに素晴らしくて、本編である2時間6分版がかすんでしまった。そんなバカなことがあるのか、と少し驚く。予告に騙されてつまらない映画を見せられた、というわけではない。これはこれでとても素敵な映画である。だが、4分に凝縮されたド…

百田尚樹『海賊とよばれた男』下

結局、5日間で上下2巻を読んでしまった。もちろん、通勤の往復だけでは無理なので、休憩時間とかも使って一気読みしてしまった。これはそれくらいに面白いエンタメ小説なのだ。 それにしても凄まじい生きざま。次から次へと彼を襲う苦難の連続技。それでも、…

カメハウス『骨のない魚』

1時間40分の芝居なのだが、最初の30分を見ていない。別の用事があって間に合わなかったのだ。(HPFとバッティングしたのだ!) こんないいかげんな状態での鑑賞を許可してもらえてとてもうれしい。もう絶対に見れないだろうと諦めていたのだが、ダメ…

2013・HPF開幕

今年もHPFの季節がやってきた。7月19日から31日まで4会場で29校が出場して、公演を行う。今年は会場として新しくドーンセンターも加わった。小劇場で高校の演劇部が単独公演を行うこのイベントは、高校生にとってはコンクールとは一味もふた味も…

工芸高『宇宙人の壁の中で』  (改訂版)

これはおかしい。もちろん、それは「いい意味」で言っている。工芸高はいつもへんな芝居を作るのが伝統だが、今回はそれがかなりの確信犯だ。作、演出を担当した浜本克也クンは、感性(本能、と言ってもいい)ではなく、頭(理性ね)でこれを作っている。だ…

あみゅーず・とらいあんぐる『文月の宵に』

あみゅーずが今年もリーディング・スタイルの新作を上演してくれた。昨年20周年記念として初めてこの試みをしたが、とても素晴らしいものだった。今までのリーディングの常識を覆す傑作で、リーディングというスタイルはただ単なる輪読でも、芝居の模擬演習…

『アンコール!!』

こういう映画が盛んに作られるような時代がやってきた。新藤兼人監督が『午後の遺言状』を作った頃は、こんな時代が来るとは思いもしなかった。高齢化社会が進行し、映画産業も変わった。ターゲットは老人である。彼らが求めるような映画が盛んに作られる。…

『華麗なるギャツビー』

なんて悲しい映画だろうか。もうお金なんかいらないし、愛もいらないや、と思った。ギャツビーが可哀そう過ぎて、トビーと一緒に泣いた。えげつないこともしているのだろうけど、彼は彼女に対してあんなにもピュアで、すべてを彼女のために尽くして、彼女を…

『恋に至る病』

現代版『転校生』ではないか。でも、ちょっと生々しいか。高校生と先生という、少し大人の話であるだけではなく、セックスが描かれるのもその理由だが。主人公のキャラクターが、異常で、あんなへんな女普通じゃない。彼女があこがれるシャイな先生も、あれ…

『ハハハ』

『ハハハ』である。なんとも安直。このタイトルはどうなのか、と思った。まぁ、原題がこうなっているのかもしれないが、不思議なタイトルだ。映画自体はいつものホン・サンスなのだが、今回はいつもにもまして、笑える。(だから、ハハハか? というか、別に…

百田尚樹『海賊とよばれた男』上

今まで避けてきたわけではない。でも、なんか本屋大賞を取っちゃったから、今頃読むのが、気恥ずかしい。しかも、それってなんだか時流に迎合しているみたいだし。だいたい百田尚樹自体、食わず嫌いで読んでなかったからよけいだ。毎回作品によってタッチを…

『コン・ティキ』

この地味な大作映画を諦めることなく、作り上げた製作のジェレミー・トーマスは偉い。興業的な成功は望めない映画に大金をつぎ込み、妥協することなく完成させる。使命感もあったのかもしれないが、これは一応娯楽映画だ。芸術的な野心作というわけではない…

『殺人の告白』

ザ・韓国映画。って感じ。超重量級大巨編。激しいし、重くて暗い。でも、スクリーンからは目が離せない。まずアクションで、次にドラマで、見せる。でも、その間にも派手で過激なアクションは満載だ。ストーリーも2転3転する。どんだけやるねん、というく…

くじら企画『ドアの向こうの薔薇』

『大竹野正典劇集成Ⅱ』発刊記念公演である。昨年に引き続き今年も大竹野の芝居が見られる。この稀有のことを楽しもう。彼が亡くなり、それでもくじら企画は芝居を続々と作り続ける。最初は亡くなった大竹野正典、作、演出というクレジットで、上演された。そ…

劇団せすん『なんつったって? アイドル』

さびれた町の活性化のため、ご当地アイドルを擁して再建を図る、という話だ。シャッター通り商店街になった町の中心にある居酒屋が舞台。そこはもとアイドルだった女性が営んでいる。寂れゆくこの町の最後の頼みの綱である企業が工場を閉鎖するという噂の中…

東野圭吾『夢幻花』、百田尚樹『夢を売る男』

本の帯にはいつも大袈裟なことが書かれてあるけど(宣伝ですからね)ついつい信じてしまい、だまされる。今回も『「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自ら語る会心作!』というのに、やられて読んでしまった。もちろん、つまらないわけでは…

『100回泣くこと』

100回泣くわけではないから、このタイトルは大袈裟なのだが、そういう極端なところが、中村航作品の魅力で、この話だってやりすぎでそこにはリアリティーはない。でも、嘘臭いか、と言われると(確かに嘘臭いけど)気持はわからないでもない。こういう気…

『ミツコ感覚』

これは嫌な映画だ。この後味の悪さは普通じゃない。しかも、こんなにも嫌な映画をここまで確信犯的に作る才能って、かなり凄い。監督はソフトバンクのCM(犬のお父さんとその家族のやつ)を作った人らしい。あのCMの不条理も半端ではないが、この映画の…

『自縄自縛の私』

わざとこういうコメディタッチであからさまな芝居をさせているのだが、その意図がよくわからないまま、基本はシリアスでドラマを押し通す。緊縛という行為を特別なこととして捉えず、ちょっと変わったひとつの性癖として受け止める。(でも、抵抗ある人はま…

奥田英朗『沈黙の町で』

いやな話だ。中学校の校内での死者。生徒だ。部室の屋上から転落。中二の男の子。それは事故か、自殺か? 4人のクラブの同級生によるイジメがあった。死の直前4人と一緒だったことで彼らは警察に拘留される。被害者と加害者。彼らの親たち。警察と学校。マ…

baghdad café『トーク・アバウト・ハー・ライフ』

あるグループ・カウンセリングの風景がドキュメントされる。これは精神科の治療の一環としてなされているのか、それとももっと別の何かなのか。説明は一切ないから、よくわからない。進行を担当するカウンセラーから、自分の気持ちを客観描写で表現してみん…

重松清『また次の春へ』

『インポッシブル』を見た前後で、この本を読んだ。あの映画がすごいのは、スペクタクルシーンやサバイバルシーンがふんだんにあるのに、当然目的はそれを見せることではない、という、これまた当然の事実なのだ。あれだけ大変な作業をして津波の被害を再現…

原田マハ『ジヴェルニーの食卓』

4つの中編小説は、いずれも画家のもとで寄り添って生きた人たちの姿を描いたものだ。巨匠たちを描くのではなく、彼らのそばで彼らを信じて、見つめ続けた視線。 マティスを見つめた家政婦。そして、彼女のいた時期に、たった一度、彼のもとを訪れたピカソ。…