習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

りゃんめんにゅーろん『カラベラの踊る日に』

劇団四季はこの台本の上演権を今すぐ買えばどうだろうか。ミュージカルとして改変し、上演したなら、きっと大成功するはずだ。これなら和製ミュージカルで、世界に向けて発信することも可能だろう。ブロードウエイでのロングランも夢ではない。 冗談抜きで、…

『ターミネーター4』

まさか『ターミネーター』を見て泣かされるとは、思いもしなかった。映画の終盤スカイネットに単身乗り込み、カイル少年を助けるサイボーグ・ターミネーターであるマーカス。彼が自分はスカイネットに利用されていただけだと知り、それでも人間としての矜持…

ジャブジャブサーキット『河童橋の魔女』

小劇場の舞台としてはとても広いアイホールを使っているにも関わらず、ほんの少しだが、わざと空間を狭く使っている。はせさんはこの劇場で公演をするときにはいつも空間の広さを最大限に使うような演出をしてきた。基本的には四方囲み舞台だった。だが、今…

A級MissingLink リーディング公演『プロ倫』

1974年に廃山となった島。炭坑を中心に栄えたこの島は一転廃墟と化す。それから35年。だれも省みることもなかったここに、やってきてコミューンを作る若者たち。かって炭坑の町として栄えた名残がそこここに残る無人島。2つの時間をつないで、新たな…

『銀の鈴』

作りたいものを作った。ただ、それだけだ。だが、それだけのことがこんなにも心地よい。全力で作り上げたことの充実感。よくぞ、ここまでやってくれたものだ。この映画を手掛けた齋藤勝監督は初めての映画に戸惑いながら、持てる力の全てを出し切って一世一…

劇団 大阪『親の顔が見たい』

とてもいやな話だ。いじめによる自殺。同じグループだった女の子たちは事実を隠蔽しようとして、口裏を合わせて黙秘を決め込む。親たちが学校に呼ばれる。だが、彼らもまた自分たちの子供をかばうため、事実を受け入れようとしない。 ディスカッション劇だが…

『MW ムウ』

ある島の住民が一夜にして消えた。事件から16年後、生き残った2人の子どもたちは成長し、彼らによる世界を2分する戦いが始まる。なんだかワクワクしないか。「それは神が残した、最後の光」「それは神が堕とした、最悪の闇」この2人による世界の明日を賭け…

あうん堂『うり かい ことば ぼくねんじん』

なんとも不思議な味わいの芝居である。設定自体は最初コメディーなのか、とすら思わせる。だが、実際はそうではない。くすくす笑わせるような芝居にはならない。 いくらなんでもこれは変な男だ。そんな男が主人公である。彼はリヤカーを引いてやってくる。農…

『真木栗ノ穴』

これもゴンドリーの新作同様、ただの趣味の映画だ。ストーリーも突っ込みどころ満載で、それをごまかしごまかし見て行かなくてはならない、というところまでよく似ている。わざとらしい西島秀俊演じる売れない貧乏作家を主人公にしたコメディーだとでも割り…

『僕らのミライの逆回転』

こういうアナログのハンドメイド映画がミシェル・ゴンドリーの得意技なのだけれども、すごく甘くて、緩くて、なんか見てるとだんだん眠くなってしまう。『エターナル・サンシャイン』1本だけの人だったとは、まだ言わないけど、あれだけが突然変異のような…

宮下奈都『遠くの声に耳を澄ませて』

「くすんでいた毎日が、少しずつ色づいて回りはじめる。」このコピーに心惹かれた。この本を読んだのは正解だったようだ。この短編集には心地よい風が吹いてる。最初の『アンデスの声』を読んだ時、胸がいっぱいになった。このちいさな町から生涯、一歩も(…

まはら三桃『たまごを持つように』

こういう小説はたくさんある。青春小説で、スポーツを題材にして、高校生の日常を淡々と描く。弓道を題材にしたというのも特別ではない。『武士道シックスティーン』と比較する必要なんてないが、ついつい較べてしまいたくなる。すると圧倒的に物足りない。…

『ザ・スピリット』

劇場には観客が5人だ。公開からまだ9日目。ブルク7での上映は1日に3回。しかも夜の回はレイトショーしかない。しかたないから9時40分なんていう回で見ることとなる。『シン・シティー』のフランク・ミラー監督が初めて単独で監督した作品だ。これはぜ…

青年団 国際演劇交流プロジェクト『鳥の飛ぶ高さ』

2時間15分の長尺が、あっという間だった。こんなにも面白い芝居に仕上がるなんて想像もしなかった。従来の青年団の芝居とはまるで違う。それは演出が平田オリザではないからだ、なんて言わさない。たとえ原作が別人であろうとも、台本、演出協力として平…

劇団 往来『母 おふくろ』

昨年の『セチュアンの善人』に続き今年もブレヒトに挑戦した劇団往来の新作。しかも今回は正攻法だ。真正面からこの素材に挑む。とはいえ往来らしい仕掛けはある。現代の日本の政治状況をコントとして挟み込みながら、遠い過去でしかない20世紀初頭の帝政…

劇団 未来『ラ・ブルー・スィエル』

実に爽やかな芝居だ。舞台となる山里のおしゃれな創作レストランと、その周囲に広がる自然そのままのような舞台だ。広々とした開放的なレストランの雰囲気をよく表現した丁寧な舞台美術もいい。テラスから中に入れる。周囲に広がる森に囲まれ、ぽつんと立つ…

遊劇体『海神別荘』

とてもシンプルで美しい作品だ。今まで取り上げてきた泉鏡花作品と同じテイストなのに、描かれ方が違う。まるでおとぎ話でも見てるようで、その素直な語り口に戸惑うくらいだ。キタモトさんはいつもながらのタッチで、淡々と見せる。語り手である女(条あけ…

劇団自由区~エリアフリーダム~『モノクロームの国のアリス』

人の心の中に入り込む装置なんていうメルヘンチックな設定を、もう少しうまく生かせなかったのだろうか。アリスの物語を使っているが、その設定も生きていない。心の中なんかに入り込まなくても十分わかることばかりだし。心の中に入らなくては見えなかった…

劇団自由区~エリアフリーダム~『モノクロームの国のアリス』

人の心の中に入り込む装置なんていうメルヘンチックな設定を、もう少しうまく生かせなかったのだろうか。アリスの物語を使っているが、その設定も生きていない。心の中なんかに入り込まなくても十分わかることばかりだし。心の中に入らなくては見えなかった…

蜂蜜 梅酒『ピストル×ミルクティー』

作、演出を担当した南陽子さんは高校演劇出身で、卒業後もずっとHPFで部員の少ない演劇部のアドバイザーとして優れた作品を毎年夏に提供してきた。そんな彼女がついに満を持して挑む小劇場界デビューである。彼女が、大人の役者を使って何の制約もなく自…

クロムモリブデン『空耳タワー』

上手や下手からではなく、必ずセットの下からすっと出てきて芝居を始める役者たち。無表情で、とんでもないことをしゃべる。でも、それを全く聞いていない人たち。だからコミュニケーションは成立しない。だが、それ(コミュニケーションの不在、ね)がこの…

プロジェクトKUTO-10 『後ろ前の子供』

工藤俊作さんによるプロデュース公演。今回でついに第10回公演となる。台本は焚火の事務所の三枝希望。演出は極東退屈道場の林慎一郎。この異色のコンビがこの作品を興味深いものとする。 ここに描かれる重くて暗い世界は三枝さんならではのもので、こういう…

東野圭吾『パラドックス13』

こういうSFエンタテインメントってよくある。スケールも大きいし、お話もドキドキさせられる。500ページにも及ぶ大長編なのに、けっこう一気に読ませてしまう。さすが東野圭吾だ。 北村薫の傑作『タ-ン』と同じパターンなのだけど、後半はスケールアッ…

『BABY BABY BABY! ―ベイビィ ベイビィ ベイビィ!―』

こういう昔ながらのゆる~いタッチのB級映画は、もう作られなくなった。メジャー映画会社が、この手のプログラムピクチャーから完全に撤退したからだ。かといって、TV局がこういうレベルの映画をわざわざ作ってリスクの高い劇場公開に踏み切るとはとても…

『真夏のオリオン』

篠原哲雄監督が初めてメジャー大作を手掛けた。しかも、製作はTV朝日である。『亡国のイージス』『ローレライ』の福井晴敏原作による戦争大作映画だ。(チラシをちゃんと読むと、原作は別にあり、福井は脚色、監修とある。なんだ、それは!) だが、この作…

『ウエディングベルを鳴らせ』

エミール・クストリッツアの最新作。今回も底抜けに楽しくて、でも、底に流れる深い悲しみをきちんと見つめた上で、こんなにもノーテンキにすら見えるコメディーに仕立てる。『アンダーグラウンド』以降彼は何かふっきれたように陽気である意味過激な映画を…

演劇集団よろずや『梅雨日和』

『盆がえり』以来となる「おとなしい演劇」。この微妙なネーミングは実際のところはどうだか、とも思うが、劇団代表である寺田夢酔さんは気にしない。彼は自分たちの劇団の芝居に3つの大きな柱を用意し、これをそのひとつとしている。3つのジャンルはそれ…

『スタートレック』

『サウンド・オブ・ミュージック』のロバート・ワイズ監督が今から30年前に作った超大作映画劇場版『スタートレック』は当時のファンを大いに失望させた。彼は69年制作のSF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』に喧嘩を売ろうとしたからだ。思索的な映…

『最強★彼女』

前作『僕の彼女はサイボーグ』と前後して作られたこの作品はいかにもクァク・ジエヨン監督らしい作品だ。映画自体はワイヤーアークを多用したアクション映画というスタイルの中で思いっきり暴走しており、作品としての完成度は低い。だが、今自分の殻を破る…

空の驛舎『変身リベンジャーとスーパーフライトマン〈改訂版〉』

8年振りの再演となるらしい。初演はアイホール。もともとあの広い空間を想定して書かれた台本をウイング・フィールドの凝縮した空間で再演するのは至難の技だろう。空港の待ち合わせロビー。そこを行き交う人たち。3組の人たち。それぞれの人間模様がこの…