習慣HIROSE

まるで習慣のように毎日、見た映画・芝居・小説の感想を書いてます。

演劇ユニット 爆風『ガラクタオトコ』


 とても爽やかで気持ちのいい芝居だ。弱冠20歳で、これが始めての作、演出となる石田なおきさん。ありきたりなお話だし、まだまだ荒削りで不味い部分は多々あるが、それでも自分の作りたいものは明確で、世界観もしっかりしており、見ていて嫌な気持ちにはならない。なによりまず1本筋が通っている。頼もしい新人作家の登場である。

 芝居がストーリー第一主義ではないのもいい。お話のためのお話くらいつまらないものはない。この芝居はまず設定から入り、その世界で何が起きていったのかを見せる。そんな当たり前のことが出来てない芝居は多い。

 市川拓司の『そのときは君によろしく』を思わせるがらくたの放置された秘密の遊び場所。そこは、4人の小学生たちのアジトである。フライヤーは森をイメージさせるが、芝居では、町中の空き地を思わせる。今時そんな場所はないだろうと思う。僕らが子供の頃、高度成長時代ならそんな場所はたくさんあったが、今ではありえない。廃材置き場で遊ぶなんて不可能だろうし、もしそれが出来たとしても、22年間もその場所が変わらずあり続けるなんてありえない。この芝居は基本設定に無理がある。しかし、そんな夢のような場所があった、という部分の嘘をまず受けとめなくては先に進めない。

 小4の男の子が一緒にかくれんぼしていた姉を置き去りにして、友だちの所に行ってしまった。残された姉が死んでしまう。その日の出来事がトラウマとなり、それから22年経った今も、彼の心に影を落とす。会社をリストラされ失意の彼は、再びここにやって来る。この場所はなぜか、あのときのまま、ある。酔いつぶれて眠る。

 目覚めた彼は、22年前のあの日の自分自身に出会う。ここに出没すると噂されていた<ガラクタオトコ>として、彼は子供たちと向き合う。だが、姉の死を食い止めることも、あの日の自分を導くことも、なにも出来ない。自分の無力さを再確認するだけだ。

 芝居はつまらない夢オチにはしない。ましてや安易なタイムスリップもののもならない。夢でも現実でもない。不思議な感触を残す。それは話の詰めの甘さゆえなのだが、偶然にも、それがこのゆるい芝居の魅力になった。

 但し、正直言っていくつもの設定は、そのほとんどが放置状態のままで話は流れていく。それはとても惜しい。説明が欲しいのではない。ただ、ドラマとしての整合性は必要だ。感覚的にでもいいから、観客が納得いくような見せ方は必要なのである。